文芸誌「天気図21号発刊のお知らせ」通信No.2

 2001年から年刊誌として発行してきたいわての文芸誌「天気図」が21号を発刊しました。巻頭には「北の文学」の編集委員として、また横溝正史ミステリ大賞を受賞しミステリーと歴史小説で活躍する大村友貴美氏に登場いただき、執筆の苦労話や裏話を語っていただきました。なお、今号では俳人の工藤幸子氏がエッセイに登場。投稿作品として東根ただし氏の小説も掲載されております。他、「北の文学」優秀作受賞者中心の同人たちの作品が掲載されています。

 

 購入は県内書店または、こちらからお買い求めいただけます。試し読みもあります。

主な掲載作品(掲載順)


●野中康行「時を積む」

過去をせっせと文章にしてきた作者が、哲学者の語ったことばに、過ぎ去った過去は「無」とは限らないことに気づくまでをつづったエッセイ。

 

●立川ゆかり「旅の途中で」

自分を見詰めなおすために向った恐山。泊まった宿坊で院代から聞かされた法話に、新たな気持ちで人生の旅を続ける自信を得る。

 

●工藤幸子「雪の温泉宿」

娘からの招待を受け、かつて家族旅行で泊まった老舗旅館に宿泊した時のことを情緒豊かにつづったエッセイ。

 

●渡邊治虫「橋を渡って」

開墾集落の5人は中学を卒業後、集団就職をする。同じ職場で働き、定時制高校で学びながら個性を伸ばしていく。中でも一徳は志が高かった。大学合格を果たしたのだが…。

 

●多田加久子「ようこそ、カディスへ」

マーガレットがスペインのカディスで歯科医を営むイグナシオのもとを訪れた。イグナシオは恋の予感を感じる。スペインを堪能できるロマンティックな作品。

 

●東根ただし「ワンダフルぶるうす」

仮釈放の主人公が保護観察所から建設会社に通い、初給料をもらうまでの日々が丁寧に書かれている小説。ラストのブルースが主人公の心情をあらわしている。

 

●安住幸子「あの頃」

「平和という言葉が新しい窓ガラスのように磨かなくても光っていた頃」のことばどおり、読んでいると遠い昔の郷愁に誘われる詩である。

 

●杉田未来「遡上」

高校生の私がパナマ帽のおじいちゃんとクラシックカーに乗って、タイムトラベラーのように過去へ、源流へ、果てへと遡上してゆく浮遊感と速度を感じる詩。

 

●浅沼誠子「お婆ちゃんと黒留袖」

祖母は、戦争で亡くなった夫の幻影を見たりして最近様子がおかしい。そこに不思議な老人が登場。それがきっかけのように、彼女は昔着た黒留袖を探し始める。

 

●東森りつ「猫嫌い求む」

私は家政婦の求人に応募する。「猫嫌い歓迎」にはちょっとひっかかったが、やってみると意外に簡単な仕事だった。ところが奇妙なことが次々に起こり大変なことに…。

 

●四ツ家絵里「南北朝時代終焉の真実Ⅴ」

南部せんべいを追って秋田由利本荘の楠正家、そして後征西将軍宮の良成親王にたどりついた作者。歴史の裏側を探ってゆく。

 

●小原光衛「峠を越えて来た女」

炭焼きの新吉は峠を越えていく二人の女たち、七(しち)と末に遭遇。病の父親のために薬を求めて城下に向う途中だという。新吉は七に好意を持つが…。

 

●立川ゆかり「スグリの旅(第3話)」

河童のスグリたちは人間に物資を供給し続ける。そんな時、長(おさ)の清雲が田舎から上京するとの報が入る。

 

●菊池尋子「カオ・かお・顔(上)」

顔にまつわる非日常体験を集めたノンフィクション。